在宅介護をしているけど、本当にこれでいいのかなぁ。
正直、在宅介護を続けるか、施設入所にするか迷ってる。
もう、介護に疲れちゃった。
在宅介護にメリットなんてあるのかしら。。。
こんな悩みを解決します。
私の体験談ではありますが「メリットは少ない」ように思います。
ご本人や家族の意向で在宅復帰をした場合は、満足度がとても高いようです
在宅介護のメリットを探そうとしている方が分かるよう、具体的に理由を明確化したいと思います。
価値観にもよりますので、これがすべて正解ではありませんからお間違えのないように。
執筆者の経歴
- 作業療法士10年以上
- 勤務歴(病院・介護施設・児童支援・就労支援)
- 現在は就労支援に従事(障害のある方のリクルート)
私は老人介護分野で仕事をしてきました。
経歴や信頼性についての詳細は運営者プロフィールからどうぞ。
在宅介護のメリットは少なめ
最近、私の身近な人が「在宅介護」に限界を感じて、運良く空きが見つかった老人ホームに家族を入所させた出来事があります。
今回のケースはこんな様子でした。
セラピストの視点でみていくと、在宅介護サービスを強化して、身の回りの工夫で残存機能を引き出しつつ、もっと介護負担を少なくしながら生活ができた状態でした。
私の提案(アドバイス)も虚しく、入所の方向に動いてしまいました。
そこから見えてきた理由が3点あります。
理由①:介護者の負担に左右される
「老老介護」に近い状態でしたので、介護負担を減らさなければ辛くなる一方でした。
本人が住み慣れた在宅で「生活」を希望しても、受け入れる家族の介護力がなければ実現はとても難しいのが在宅介護です。
逆のパターンもあります。
本人は住みにくい家で家族に負担をかけるより「施設」を希望しているが、家族は一緒に住みたいという場合も当然あります。
短い期間でも在宅で生活ができ、家族も限られた期間だけ一緒に住めれば良いという気落ちであれば、決められた期間のみの介護でもいいのかなぁと思います。
介護負担に左右されてしまわれる事実は否めません。
理由②:先が見えない
いつまでやらないといけないの?
こんな状況が「介護者」を圧迫していきます。
ずっと心配をしていれば、介護者は人生が楽しめません。
介護する側も加齢によって体調の変化を感じやすくなっていきます。
終わりが見えないマラソンは、絶対にゴールができない
人間の命の終わりなんて誰にもわかりません。
在宅介護は「終わりが見えないマラソン」に似ている部分があります。
人生に華を咲かせるような活動をしていかなければ、精神的疲労は減らすことができません。
残念なことに、まわりの人は介護者に提案(アドバイス)しかできないのです。
それを選択するのは介護者です。
支援する側にも限界はあります。
理由③:急な変化の対応に限界がある
今回、在宅介護が限界に達した理由は「夜間のトイレ介助」が決定打
つい数日前までトイレ動作が自立していたにも関わららず、トレイ内で転倒することが増えてしまったそうです。
半ケツ状態(ズボンを半分下ろした状態)で転んでしまい、排泄が間に合わず失禁してしまうことが増えたそうです。
動作介助に加え、失禁の始末が加わったことで家族の介護負担は一気に増しました。
居宅ケアマネジャーに連絡をしても「すぐの対応は難しい」という返答があったそうです。
前述しましたが「終わりが見えないマラソン」にハマってしまった状態。
ここまできてしまえば、さすがに在宅介護の限界を感じてしまいます。
急な変化にすぐ対応してもらえないと、家族は詰んでいく一方だと思いました。
在宅介護の具体的なメリットは?
しっかりとしたメリットも在宅介護にはありますので、お伝えをします。
介護費用が抑えられる
入所する場合の費用は「施設の種類」や「介護センターの方針」などで異なります。
施設入所を希望しても費用が高い施設しか空きがなければ、選択肢は二択しかありません。
在宅介護の場合、施設のように家賃は発生しません。
食事や介護用品も必要なものだけで間に合います。
施設の場合、必要で無いものも「パッケージ」としていることもありますので、少々割高感があります。
在宅介護の補助金が利用できる場合がある
在宅介護をする場合、自治体から補助金がでるケースもあります。
「介護をしているから」という理由で、単純に支給されるものではありません。
よくあるのが住宅改修費用
今回のケースも、住宅改修を行っていました。
お住まいになられている自治体独自のものですので、いちど確認をとることをおすすめします。
広報誌などに情報が掲載されている場合がありますのでしっかり目を通しましょう。
貰えるものはもらい使いましょう。
必要な在宅介護サービスで抑える
デイサービスや訪問介護など、本人に必要な最低限のサービスのみで生活ができるのはメリットと言えます。
介護保険による出費は、施設よりも少なくなります。
入所のほうが安く表記されている場合もありますが、よくみていくと生活で必要なものに対して別料金がかかるケースもあります。
(例えば洗濯代、おむつ代などが高く設定されている)
施設ではない、住み慣れた場所で暮らせる
自分が安らげる場所って誰しもあると思いますが、生まれ育った家はいくつになっても本能的にくつろげる空間です。
在宅介護は生活しなれた場所で過ごすことができますので、安心した気持ちで暮らすことができる一面があります。
施設入所の場合、自分の第二、第三のような居場所という感じにもなります。
80代ぐらいの世代は、故郷や住み慣れた空間、地域に対する想いが非常に強いです。
家族の支援がうけられる
入院をすると分かりますが、身の回りの世話をしてくれる方は血の繋がりがない他人です。
「仕事」だからという観点で捉えてしまうとあれですが、言いにくいこと、気を使ってしまうことは必ずあります。
家族の場合はどうでしょうか?
気兼ねなく、言いたいことは言えるのではないでしょうか。
施設入所をすると関わってくださる方は「施設の職員さん」です。
受け持ち制、担当制などによって職員がコロコロ変わったりもしてしまいます。
在宅介護は、自分が知っている方がそばにいるというのが大きなメリットです。
在宅介護の現状
結論
- 単身世帯、夫婦のみ世帯が在宅介護比率の半分を占める
- 毎日、介護をしなければならない
今回のケースは夫婦のみ世帯です。
1/3を占めますので、一般的にありえることです。
介護者情報を深堀りします。
介護者の割合は「実子」「配偶者」「子の配偶者」
資料の通りです。
高齢者であっても、起き上がりや移動、排泄動作で「腕力」が必要になった場合、女性では難しいです。
年齢についてもこんなデータがあります。
60代で親の介護をされている方がダントツです。
今回のケースは「介護者が実子」「女性」「60代」という点が当てはまります。
「在宅介護のメリット」と「介護力」を天秤にかけて考えていくと、在宅で介護をするメリットは少なめな印象に変わってしまいます。
在宅介護の限界は?
在宅介護を限界に感じる不安点については、「在宅介護の限界を解決する」でまとめましたのでご参考にどうぞ。
今回のケースは「排泄介助」が引き金になっています。
【まとめ】在宅介護はメリットが少なめ
- 介護者の負担に左右される
- 先が見えない
- 急な変化の対応に限界がある
こんな点がポイントで、在宅介護はメリットが少ないと感じてしまいます。
私が仕事を通じ、利用者様に関わりながら考えていたことですが、
家族や本人がその瞬間だけでも「満足」できること
これが本質なのかなぁと思ってしまいます。
今回の場合も、いくらか在宅生活ができたようでした。(退院して1~2年だったと思います)
限定的ではありますが、本人も満足して自分を受け入れるための期間として妥当な年月だったようにも思えてしまいます。
今は業界内転職をして、私の仕事は「就労支援」がメインですが「福祉サービス」も一緒で「満足度」が大切だと感じています。
重度障害で家族が在宅介護しきれない場合、施設入所になりますから。。。
「在宅介護」って難しいと感じた体験談でした。
高齢者の在宅介護について深く知りたい方は、こちらの記事も参考にされて下さい。
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