「就労移行支援」って聞くけど利用方法が分からない
複雑だったらどうしよう
私にできるのかなぁ
こんな疑問を解決します。
手順が複雑だったり手間がかかるようだとやる気も失せてしまう気持ちは良く分かります。
しかし、理想とする就職を実現するために活動は避けられません。
大学卒業を控えた新卒の就職活動が良い例です。
動かなければ解決はしていきません。
この記事ではシンプルに就労移行支援の利用方法について⑦つの手順でまとめました。
難しい内容でまとめていませんのでご安心下さい。
小林玄人(ハルト)
執筆者の経歴
- 作業療法士10年以上
- 勤務歴(病院・介護施設・児童支援・就労支援)
- 現在は就労支援に従事(障害のある方のリクルート)
私は就労支援を仕事にしている現役の職員です。
就労移行支援の案内を職場でしており、この記事内容を読みながらシンプルに沿っていくだけで問題ありません。
就労移行支援の利用方法に付け加え、基本的な就労支援の流れについても学べるようにまとめましたので、参考にして頂けると幸いです。
では、見ていきましょう。
※
読むのが面倒な方は動画講義で学習できます(26分ぐらいです)
就労移行支援の利用方法を⑦つにまとめて職員が完全解説
以下の流れで進めていきます。
※ 利用方法のみを参照したい方は⑦つの手順のみ閲覧をどうぞ。
※ すべて読まれると就労移行支援の捉え方が固まる構造になっています。
抑えよう「障害者」就労支援の流れ
就労支援を深く知るための前提です。
障害をもった方にも就労の段階がありますので理解を深めましょう。
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以下に綴る内容は就労の概念です。
分かりきっていることを説明しますので、不必要な方は飛ばして下さい。
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生産活動を通して社会的な就労を学ぶ
所属する職場の求めることを実行して、対価としてお金を貰います
これが「生産」で、労働の基本です。
日本に限らず世界的に共通しています。
分かりやすいのがモノ作り
身につけている衣服、靴、スマホなどは人の手によって作られています。
作るには多くの工程が必要だったり、高い技術が求められたりします。
さらに作られたモノは流通を通して店頭に並び、販売の過程を経て消費者の手に渡ります。
この過程を学ぶことで、生産活動が就労に繋がるという理解が深められます。
別視点でいくと「サービス」も生産である
例えば、乗り物はどうでしょうか?
タクシー、バス、電車、飛行機などありますが、人を乗せて目的地まで移動するサービスです。
他にもサービスは沢山あります。
携帯電話の料金、ホテル等の宿泊施設、荷物の宅配、ウェイター、ごみ収集など、これらも生活を支えていくために必要不可欠で、これらに携わることも就労と言えます。
一般就労のための学習をする
「一般就労」は一般企業で働くことを意味します。
よく言われる「会社:組織」で働くことです。
職場で働くためには、社会人としての一般的な対応が求められます。
ビジネスマナーや社会人としての行動
など
「学校」は学ぶ場所で「職場」は仕事を行う場所です。
仕事の対価としててお給料を得ますので、過ごし方も学生気分では困ります。
まわりの人も自分と同じ年齢の方だけとは限りません。
20歳以上も年齢が離れた人や年下の人もいるかもしれません。
学校であれば気が合わない人とは付き合わなければ良い話ですが、職場はそうもいきません。
苦手な人とも目標を達成するために仕事を一緒にしなくてはなりませんので、人間関係を考慮したコミュニケーション術やストレス対策などが必要になります。
一般就労は働くに不随した様々な技能を学ぶことが必然となってきます。
仕事を続けるための就労定着支援
一般就労ができたら職場に「定着」させるフェーズとなります。
障害者の方で多いのが、就労をして1週間後には辞めてしまっている、または1か月も続かないという内容です。特に精神障害(メンタル不調)を患っている方に多く見られます。
定着支援は職場で長く働くために職場環境の調整、仕事の進め方、生活に関する支援をすすめていきます。
ここまでの過程をまとめると
■働くこと(就労)の意義を学ぶ
↓
■一般就労のための学習
↓
■一般就労を継続させる
こんな流れになります。
就労継続支援と就労移行支援の違いは?
結論:就労継続支援は「生産活動」、就労移行支援は「学び」
お給料を貰う生産活動、一般就職を目指す違い
就労継続支援は一般就労に就く前の就労支援施設です。
B型、A型と分かれますが、どちらも福祉事業所に所属し職員の支援を受けながら働くための支援を受けていきます。
雇用契約、賃金(工賃)などに差があります。
就労移行支援は「学校」のような側面を担い、一般就労に向けた学習を積んでいきます。
就労継続支援B型
雇用契約:なし
賃金:最低賃金以下
月収:約1万4000円ほど
目的:一般就職が難しい方が仕事を続ける
障害にも程度が様々あります。
軽度~重度まであり、とくに精神障害や発達障害は見た目からは判断されにくい部分があるため、まわりに伝わらない部分が当事者を苦しめます。
就労継続支援B型は障害が重い方が対象となり、福祉施設で職員の支援を受けながら就労を行っていきます。
雇用契約がないことも障害による体調等の不安定さがあるからです。
賃金を得る生産活動は様々あります。
など、事業所によって様々です。
就労継続支援A型
雇用契約:あり
賃金:最低賃金保証
月収:約7~8万ほど
目的:生産活動を通じ、一般就職に近い内容で働く
B型事業所の利用者様より障害の程度が中等度の方が対象です。
こちらも福祉施設での就労ですが、きちんとした「労働契約」を結ぶため一般的な就労に近い部分があります。
社会保険にも加入でき、賃金もB型事業所に比べると多めの支給となっています。
なかには10万円を超えるところもあります。
仕事内容は様々です。
などがあり、入社試験も面接試験意外に筆記試験や特別な内容を設けている場所もあります。
就労移行支援
賃金:通常は無し
目的:働くための学びを得る場所
「就労移行支援」は文字通り「一般就労に向けて移行をしていく」という意味があります。
就労継続支援B型、就労継続支援A型は福祉施設となっていて、利用者が抱える障害について専門的な理解があります。
一方で一般的な企業に専門職はいません。
しかし、人として理解をすることは可能で、合理的な配慮が行えます。
利用者様は働く環境に配慮があっても誤った認識とならないよう、正しく自分について伝える能力が求められます。
そのためにな自分のことを知らなければなりません。
自己理解を深めると共に「学び」であるという理由がここにあります。
就労移行支援事業所でも工賃が出るところもある
就労移行支援は「学ぶ」ところですが、事業所によっては就労体験をプログラムとしているところも多くあります。
箱折り、入力作業、事務補助などを通して工賃を設けている事業所もありますので、見学をした時に確認が必要です。
【番外編】就労移行支援は、障害児は非対象
理由は障害者総合支援法に該当しないからです。該当するのは18歳以上となっています。
18歳未満の場合は児童福祉法の取り扱いとなりますので、就労系サービスを利用する場合は年齢を満たす必要があります。
就労移行支援には期間がある
決められた期間でサービスを受けて一般就職を目指す仕組みです。
一般的に2年間と定められている
厚生労働省が定めており、ひとつの基準です。
コロナ禍になってからは利用者様の就職先が決まらない事案も多く発生したため、3年目の再延長を認める自治体も出てきています。
就労移行支援は一生に一度
2年間で就職が実現できない場合は再利用は認められません。
自治体の判断にもよりますが基本は無しです。
言葉を変えると一生に一度という捉え方になります。
一般就労について学ぶ「学校」のような役割
2年間通所できる「学校」のような捉え方が分かりやすいと思います。
決められたカリキュラムに沿って支援を展開していきますので、一般就労について学んでいきます。
基本の考え方を抑えよう
一般企業で働く場合、専門的な知識をもった職員が必ずいるわけではありません。
むしろ「いない」という認識が正しいと思います。
抑えとかなければならないのは、専門職の配慮があった環境(就労継続支援)から最低限の配慮のみの環境(一般企業)に移行して働くということです。
そのためには「学び」は欠かせません。
就労移行支援の利用方法⑦つの手順
この手順が「すべて」です。
事業所見学は失敗を避けるためにも必須です。
専門学校や大学の入学前にオープンキャンパスに行くと思いますが、同じような感覚で捉えて下さい。
手順①:就労移行支援事業所を調べる
自宅から通えそうな場所をインターネットで検索していきます。
まず多店舗展開している事業所がないか調べてみましょう。
以下が県をまたいで展開している規模が大きい就労移行支援事業所ですので参考にどうぞ。
▶規模が大きい就労移行支援事業所
一部の事業所の口コミをまとめていますので、こちらも参考になります。
▶口コミの詳細は下記の記事をどうぞ
手順②:就労移行支援事業所を見学する
見学の申し込みをします。
いきなり見学に行かれる方もいますが職員数が限られていますので、状況に応じた対応が難しい場合があります。
職員は他の利用者様の支援もありますので必ず予約を入れましょう。
限られた時間での案内だと説明の質が下がりますので、聞きたい内容が得られないこともあります。
一部の事業所の見学手順をまとめていますので参考にどうぞ。
手順③:プログラムの体験をする
提供しているプログラムの体験利用をします。
「合う」「合わない」や想像と相違がないか確認をしていきます。
手順④:住所がある自治体に申請する
ご自分の住所がある市役所・町役場の福祉課の窓口に行き、利用したい意向を伝えます。
詳細について不安がある場合は見学先の事業所に聞くことで解決ができますので、迷わず尋ねてみましょう。
手順⑤:就労移行支援サービスに関わる認定調査
行政職員による認定調査を受けます。
「調査」という言葉だと構えてしまいがちですが「あなた」の身辺情報を聞き取ることですので、仕事に就けなかったり、仕事が続かないことなど困り事を伝えてみれば良いと思います。
手順⑥:サービス等利用計画書を作成
福祉サービスを利用するためには「サービス等利用計画書」が必要になりますので、必要な場合は相談員支援専門に作成してもらうことが必要です。
こちらも利用希望先の事業所に聞くことで解決します。
自治体によってはご自分でプランを作る「セルフ・プラン」が可能なところもあります。
手順⑦:支援会議および受給者証の発行
利用したい事業所が会議を設定しますので心配不要です。
自治体によっては手がまわらないところもあり、カットされることもあります。
受給者証が発行されてから利用開始となります。
就労移行支援のおすすめ事業所
他記事でも紹介した通りで、私が仕事で関わらせていただいた⑤事業所です。
プログラムや福利厚生を考えても重視しても安心感があります。
【まとめ】就労移行支援の利用方法を⑦つにまとめて職員が完全解説
この記事では以下について解説しました。
就労支援には基本的な流れがあり、生産活動を通して「就労」の意味について学びます。
支援を受けながら働く施設が就労継続支援です。
賃金は得られますが一般企業に比べると少ないため、福祉施設から一般就労に移るためのサービスとして就労移行支援があります。
学校のような役割があり一般企業で働くための必要な知識やスキルを学びますが、利用期間は2年間と定められており、就職が達成できなければ再利用は認められません。
そのため、自分にあった支援が受けられる事業所を選ぶことは失敗を避けるために大切です。
基本的な利用方法は⑦つだけです。
自分に合う場所探しを始めましょう。
理想とする就職、進路を決めるためには行動していくしかありません。
就職を達成している利用者様をみていると行動はひとつポイントになります。
ひとりで見学される方も多く、そういった行動の積み重ねが自分の将来を作りあげていきます。
この記事で取り上げたのは規模感の大きい就労移行支援事業所です。
名前も通っており知名度があります。
サービスを利用したことがない方すれば、知らないのも当然ですのでご安心下さい。
知名度が無いところより、知名度があるお店の方が行きやすくありませんか?
規模感の大きい就労移行支援事業所は検索してもすぐヒットしますし、地元に特化した社会福祉法人に比べて情報量が違います。
私は規模の大きい就労移行支援事業に見学に行き、流行りの傾向などを聞いた方がメリットがあると思います。
「あなた」はどうですか??
小さいことでも、行動を積み重ねていくことで理想とする就職や生き方、進路実現へと繋がっていきます。
「あなた」の活動を応援します。
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