就労移行支援事業所に通ってもつらいだけだ
自分は何を目指してるんだろう
通所して良かったんだろうか
こんな疑問にお答えします。
何をやっているのか分からないと誰もがつらいだけですよね。
時間をかけて就労移行支援事業所に通所して、ただただ時間だけが過ぎていくと不安や焦りも自然と湧いてくると思います。
本当にこのままでいいのか・・・という疑問も頭のどこかにあるはずです。
この記事は、就労移行支援事業所に通所して「つらい」と感じた時に見て頂ける内容になっています。
執筆者の経歴
- 作業療法士10年以上
- 勤務歴(病院・介護施設・児童支援・就労支援)
- 現在は就労支援に従事(障害のある方のリクルート)
この記事を書いている私は現役で就労支援を仕事にしている職員です。
就労移行支援事業所の運営をはじめ就労継続支援の情報を得ながら働いていますので、つらいと感じる「あなた」にとって有益な答えになればと思います。
「つらい」と訴える利用者は多いですが、「つらい」の理由を理解していくことが大切になります。
この記事を教科書として利用して頂ければ幸いです。
では、はじめます。
就労移行支援事業所に通うのがつらいと感じたら開く教科書
以下の流れで解説をしていきます。
ちょっと長めの記事ですが、しっかり回答しますので「あなた」の必要な部分だけ読んでも問題ありません。
就労移行支援がつまらないと感じてしまうのは?
結論:「事業所」「あなた」で話し合いの場を設けて解決可能
支援のマンネリ化が原因
受けているプログラムは「あなた」に合っていますか?
設定した目標は達成できますか?
何となく同じような内容を繰り返しているようであれば誰もがつまらないと感じます。
事業所が提供できる内容に限界があるとすれば、支援計画を見直さなければならない時期ということです。
個別支援計画書を3か月に1回は見直さなければなりません。
3か月ごとに目標設定をしていきますので、マンネリ化してきたら別の目標設定が必要かもしれません。
スキルばかりを追っているから
「パソコンの入力速度」「ソフトの使い方」「会計処理」「手の器用さ」「簿記」など仕事で必要な内容ばかり追っていませんか?
目に見えるスキルばかりを追っていくと身についてきた成果は分かりますが、本質を学ぶことには届きません。
そのうち「つまらない」と感じます。
卒業すると知らない環境に身を置いて過ごすことになります。
仕事で使うスキル以外の課題整理をしていきましょう。
私の経験ですが、技術(スキル)に逃げている人は「つまらない」と感じて就労移行支援事業所を辞める傾向の方が多いです。
そういう方に限って、仕事に就けなく苦労されています。
就労移行支援が意味ないと思ってしまう理由は?
結論:訓練内容の認識不足と客観視が足りていない
理由①:必要なプログラムが選択できていない
支援を提供する事業所側に問題があることですが、「あなた」の目標達成に適したプログラムが選択できていなければ「これって意味あるの?」ということになってきます。
例えば、こんな感じだとどうでしょうか?
将来は事務職を目指したいんです。
実践で使えるワード・エクセルのPCスキルを磨きたいです。
手先は器用なので自信があります。
以前、バイトで仕分けもやっていましたので。
う~ん、本当ですか?
まぁ、とりあえずこの用紙を折って仕分ける作業をして下さい。
まずはそれから考えましょう。
こんなやりとりだと利用者Aさんは不満を抱きます。(分かりやすいように極端な例にしました)
理由「やりたりプログラムができていないから」
Aさんの職歴から手先の器用さはある程度の推測ができますので、わざわざ仕分け作業のプログラムを提供しなくても良いと言えます。
提供するなら少し突っ込んだ説明をして、Aさんを納得させなければなりません。
理由②:何の役に立つか分かっていない(仕事の客観視)
上記のAさんを例にしていきますが、事務職を目指すために以下のプログラムを追加します。
1~3はすべて事務職で必要ですが、理由は分かりますか?
1ビジネスマナー(言葉づかい、身なりについて)
➤ A.仕事でお客様の案内をするかもしれない
2お茶出し訓練
➤ A.来客対応をするかもしれない
3電話訓練
➤ A.電話番をするかもしれない。誰が出ても職場の顔になりえるから。
分かりやすく極端な内容としましたが、訓練プログラムが何の役にたつのか分からない状態で受けていると「意味がない」という認識になりやすいといえます。
やっていることの意味が分からない場合は、迷わず職員(サービス管理責任者)に聞きましょう
就労移行支援はクズなのか?
結論:専門的な支援ができなかったり、利用者の理解ができない事業所に限りクズと言える
福祉の職員なのに専門的な支援ができない
就労支援は適当に訓練をすすめればいいものではありません。
職員は支援に隠されている本質を理解しなければなりません。
私の職場にはいませんが、金儲けに目的の運営法人に限ってこういった対応が散見されます。
意味がある支援ができなければ、方法を淡々と提供しているだけです。
正直、大学生でも行える内容と言えます。
利用者に対する理解がない
就労移行支援事業所に通われる方は、ひとりひとりが特徴を持っています。
支援者は「実行ができない」ことを「何で?」と考えるのが仕事です。
利用者によっては寝不足や体調不良で感覚が過敏になっていたり、つねに頭がぼーっとしていたり、一度に2つのことを考えられないといった生きにくさを抱えてる人もいます。
そういった利用者の気持ちに寄り添えないで支援者を語っている方も一定数いるのが現実です。
なので、支援の質を強制的に改善する目的で「制度改定」が行われています。
就労移行支援はやっているレベルが低い?
結論:
- 支援力がない事業所はお遊び
- 職員が支援の理由を説明できれば「あなた」に課題あり
利用者を高校生のような扱いをする
生きにくさを感じている利用者を学生扱いする職員もいます。
利用者の年齢層も10代から60代まで幅広く、年上の利用者とも接する機会もあります。
なかには20年間も仕事をしてきた方もいらっしゃいますので、尊重しながらうまくいかないところに寄り添う対応が必要です。
訴えてもパソコンの基礎しかやらせてもらえない
支援方針が説明できなければ、ただの時間稼ぎです。
パソコンの基礎練習が終われば実務に向けた応用となりますが、書籍・テキストだけをひたすら提供しているとすれば、危険な事業所かもしれません。
「テキスト」だけやってても退屈です
その通りです。
テキストだけで就職できるのなら就労移行支援事業所の意味がありません。
そういう場合は、職員に訴えましょう。
正当な理由なしに限られたプログラムしかやらせてもらえない
こんな訴えがあるのに、限られたものしか提供されていないのであれば、いちど職員に理由を聞いてみましょう。
ただし、尋ねる「あなた」にも覚悟は必要です。
心の許容量が少なく、落ち込んでしまったり、怒りが込み上げてくるなら尋ねることは避けましょう。
就労移行支援がしつこいのはなぜ?
本質は以下の2つです。
理由①:利益を得るため
通所して頂くことで事業所の利益となります。
通所して貰うことを強調し、事業所運営を適正化させるために促していきます。
驚くとは思いますが、福祉に限らず「医療」も「介護」も本質は同じです。
運営利益は職員の給料に直結しますので、利益が得られなさすぎるのは問題なんです。
給料が下がると優秀な職員が去ってしまう原因になり、支援の質は下がります。
結果として、通所している利用者にも不利益となります。
事業所運営が維持できなくなると運営会社は事業撤退を余儀なくされますから、サービス資源が限られている地方では大問題に発展します。
精神科クリニックの看護師さんも給料が少なくなれば辞めちゃうし、お医者さんも困るよな。
それでかかりつけ医(クリニック)がなくなったら患者さんはもっと困ることになっちゃう。
なんだか、この理由は分かるかもしれないなぁ・・・。
理由②:適切なサービス提供のため
通所日数が少ない=支援が足りていない
私の経験ですが、支援を受けられていない人は確実に就職困難です。
自力で就職できてもすぐ辞めてしまいます。
訓練を適切に受けていただくためにも、サービス利用を促すことは最大の理由となります。
就労移行支援事業を利用できる方は自治体に許可されています。
利用したいにも関わらず、許可が降りない人もいることを忘れないようにしましょう。
利用者は訓練を受けなければいけない権利があります。
就労移行支援に不信感を感じた場合は?
結論:相談で解決をしていく
事業所に相談して解決できなければ、次の手法を行っていきます。
方法①:運営法人の苦情窓口に相談する
就労移行支援事業所と交わした契約書・重要事項説明書に相談窓口の記載が必ずあります。
記載がなければ悪質な事業所ですのですぐに利用を辞めましょう。
やめ方はこちらの記事が参考になります。
電話をすると運営会社が設けた第三者が対応をして下さいます。
通報者が不利になるよう裏で繋がっているといったことは絶対ありませんので安心して下さい。
(仮に繋がっていたとすれば、運営会社自体が営業停止です)
親身に相談を受けて貰えますので、不利益を受けたことを遠慮なく伝えましょう。
方法②:福祉課に相談する
就労移行支援事業所は福祉課の職員が介入しています。
方法①でも納得できない場合に限って、市役所や役場の福祉課に相談しましょう。
必要に応じて監査対応もしてくれます。
就労移行支援を辞めさせられたらどうする?
結論:
- 自分に過失があった場合は救う余地無し
- 事業所が一方的に辞めさせた場合は、自治体に相談
前提:規約違反がない限りあり得ない
規約違反があれば退所は認められます。
私の事業所も出入り禁止となっている利用者がいて、ブラックリストに入っています。
提供するサービスによって、利用者の健康が著しく害されたり、不利益となる場合に限って別の支援機関に移って頂くことはあります。
利用者の規約違反がない限り、事業所側から一方的に退所させられることはあり得ません。
福祉課に相談する
健康を害したり、事業所の規約違反がないにも関わらず辞めさせられた場合は福祉課に相談しましょう。
双方の間に入って話を聞いてくれます。
大切なことは客観的な意見です。
自治体の苦情相談窓口に相談する
福祉課と平行して自治体に設置されている苦情窓口に電話を入れましょう。
実はこちらも契約書などに記載されています。(ない場合はブラックな事業所です)
一方的に辞めさせられた場合は、運営会社よりも自治体が客観的にみてくれます。
福祉課とあわせて、こちらにも必ず相談をしましょう。
就労移行支援事業所が潰れてしまう場合は?
結論:事前に職員から案内があり、「異動する」か「辞める」以外の方法は無い
こういうケースは稀ですが、もしあった場合は運営会社から正式に説明があります。
飲食店のように、いきなりシャッターを閉めるような対応だと明らかな法律違反です。
一般的には丁寧に次の方法をとっていきます。
方法①:同法人の運営する別事業所へ異動
複数の事業所展開をしている法人の場合は、経営戦略で事業所を統合させることがあります。
これは珍しいことではありません。運営会社自体が潰れるわけではありませんので、基本的には同じ法人が運営する事業所へ異動する対応になります。
しかし、お住まいの地域から通所できるかという問題がありますので、現実的なところで判断をしていきます。
方法②:別の事業所へ異動
全く別の法人が運営している就労移行支援事業所へ移ってしまうことも可能です。
違ったサービスを受けたいというニーズの場合は、他店に行くことでメリットも大きくあります。
一番は自分の気持ちに正直に従うということです。
どんな選択をしても「あなた」の意思決定を咎める人はいませんので安心して下さい。
就労移行支援の退所手続きの方法について
結論:事業所と相談をして決定する
方法は以下の記事で専門的に解決をしていますのでこの記事では触れません。
こちらを参考にして下さい。
就労移行支援は2年が過ぎたらどうなるの?
結論:2年を過ぎたら泣いても笑っても「卒業」
基本的には二度とサービスが使えない
就労移行支援事業は「最大で2年間」という利用期間が設けられています。
満了まで利用した場合、基本的には二度と使えないのが原則です。
サービス利用の有無については、市役所などの行政機関がしっかり管理をしています。
例えば、
■24歳~26歳まで就労移行支援を2年間利用したが就職できなかった
↓
■26歳から27歳まで日雇いバイトで繫ぐ生活を淡々とおこなった
↓
■28歳時に就労移行支援サービスを利用したいと希望をした
この場合、24歳から26歳でサービスを受けているため、この先も基本的には利用が認められないのが原則です。
例の場合、日雇いバイトができているので不安定ながらも就労ができているという認識になります。
例外については次項で説明をします。
自治体によっては延長利用可能(ただし条件あり)
お住まいの自治体の判断によっては、2年目以降も「延長」利用が可能が場合があり、3年目まで認めるといった事例も出てきています。
ただし、次のような条件を設定しているところもあります
「あとは就職するだけ」といった状態にある方の場合は、延長が認められる場合が多いです。
就労移行支援で就職できなかった場合は?
結論:別の支援機関に繋ぐ
方法①:就労継続支援へ繋ぐ
2年間が満了する前に「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」など福祉施設での就労へ切り替えを行います。
一般就労と比較すると賃金でどうしても差が出てきます。
こういった条件を説明した後、本人が希望しない場合は2年間満了と共に福祉サービスが完全終了となります。
方法②:就業・生活支援センターに登録して自力で活動
お住まいの自治体が運営している公的機関として「障害者就職・生活支援センター」があります。
通称「なかぽつ」と呼ばれています。(・のことが由来)
障害・ご病気のある方むけに専門の相談にのってくれる機関です。
「就労移行支援・就労継続支援」とは明らかに支援の質が下がりますので、相談にのってもらいつつ自力で就職を目指すことになります。
【まとめ】就労移行支援事業所に通うのがつらいと感じたら開く教科書
ここまで長々とご覧いただき、本当にありがとうございました。
通所していて「つらい」と思っても解決方法はありますので、振り返りをしていくことが大切です。
ここまで読んで頂いた「あなた」に聞きたいことがひとつあります。
就労移行支援事業所に通ったきっかけは何ですか?
就職が目的ではないでしょうか?
つらいと思う時は「あなた」に足りない何かが掴みとれる寸前だと捉えて下さい。
プラス思考が大切です。
いつも利用者をみていて思うことは「就職は簡単ではない」ということです。
課題を乗り越えた先に楽しい人生が待っていますよ!
ここまで説明をしてきましたが「つらい」という理由は利用者によって事情が様々です。
事業所が自分にあっていないと思う場合
- 「就労移行支援事業所の選び方」を学習して他事業の見学をしてみる
- 途中で就労移行支援事業所をやめたり変更することは、本人の意思決定です
- 何か「きっかけ」が得られれば「あなた」のモヤモヤは消えてなくなるはず
参考にどうぞ
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