認知症の母を叱っちゃった。
何回も同じこと言って、私が言っていることは分かってくれない。
頭にきて手を出しそうになったけど、そこは堪えた。
自分の親なのに。。。
優しくできない私って何なんだろう。
こんな悩みに向き合います。
認知症の介護をしていて、言葉がきつくなったり、暴言を言ったり、怒ってしまうことは、在宅介護ならありえます。
理由は「自分の家族を介護しているから」
目の前にいるのは、見ず知らずの他人、親戚とかではありません。
あなたと人生を過ごした家族です。
「自分が嫌だ」と思ってしまうことが少しでも軽くなるよう、経験談を踏まえたり、別視点も交えて綴ってみようと思います。
執筆者の経歴
- 作業療法士10年以上
- 勤務歴(病院・介護施設・児童支援・就労支援)
- 現在は就労支援に従事(障害のある方のリクルート)
私の仕事のはじまりは高齢者介護です。
病院や施設から在宅復帰のサポートをさせて貰い、様々な家族と接してきました。
施設にいたときは、こんなぶっちゃけトークを家族から聞いていました。
セラピストとして叱られるかもしれませんが、この内容に乗っかっていた自分もいます。
でも、こんな感じでいいんですよ。
どれくらい介護が必要なのか、こればっかりは分からないものです。
家族の支援をするのもセラピストの役割です。
利用者様、患者様の家族と過ごしてきた内容を織り交ぜながら、一緒に考えていきましょう。
認知症の母に優しくできない「自分が嫌だ」
少し、心を軽くしましょう。
「優しくできない」「やりたくない」「無理」といった感情は、人間ですから普通です。
ロボットや機械にはありません。
「優しくできない」ことについて深堀りをしていきたいと思います。
- 認知症になった母に最大の事ができている証拠
- 「優しくできない」感情は、気を許せる家族だから
- 認知症の母と接して見えてくるものは?経験談を添えて
- 認知症の母が教えてくれている、あなた自身が成長する時
- 【まとめ】認知症の母に優しく できない「自分が嫌だ」
認知症になった母に最大の事ができている証拠
認知症の程度にもよりますが「介護」をしていて目に見えた変化が分かる時もあれば、そうでない時もあります。
「動かない体が動いた」という体験であれば分かりやすいですが、「認知症」の精神変化はすぐ様そうもいきません。
「優しくできない」ということは「あなた自身」を表出できているということです。
とても素直な気持ちで向き合えていると思います。
大切な家族のことを想って、一生懸命で、いつまでも母であってもらいたいと願っている証拠です。
「優しくできない」感情は、気を許せる家族だから
知らない他人を看ているわけではありません。
血の繋がった家族と関わっています。
幼い頃からあなたを手塩にかけて育ててくれたお母様です。
介護をしていると色々な気持ちが頭をよぎると思います。
それでいいです。
私は専門職として「認知症のリハビリ」に関わってきました。
利用者様、患者様の本当の家族にはなれませんが、それに近い存在でなければ見えないことも多かったです。
サービスを提供する側でしたが、気持ちとしては家族に近い存在でありたいと願って関わってきました。
人としての距離感が近いから起こる感情
「優しくできない」のは距離感が近いからです。
それは、「あなた」が素直な気持ちで関われているから。
物忘れが重度であれば、毎回「はじめて会った人」という認識になる方もいますが、「家族」は最後まで記憶に残っている人が多かったです。
優しくできなかった「あなた」であっても、お母様にとっては「素直なあなた」が映っています。
実は駆け出しのころ、私は認知症の利用者様(A様)に注意をしてしまったことがあります。
ことばの表現を変えると「怒ってしまった」です。
リハビリでも優しくできませんでした。
振り返ると経験不足で、専門職としては失格です。
その時の、私の本当の気持ちは「転んで骨折してもらいたくなかった」です。
大好きなお婆ちゃんでしたので、怪我だけはしてもらいたくなかったというのが真意です。
つらい思いをさせてしまいましたが、訓練の時は優しくしませんでした。
認知症の母と接して見えてくるものは?経験談を添えて
認知症のかたと接していると見えてくるものが沢山あります。
関わる側が見栄を張ったり、意地になると、それが隠れてしまいます。
繰り返しますが、「優しくできない」というのは「あなた」の素直さが出ているということ。
それでは、私が認知症のリハビリに携わってみえた体験をお伝えます。
「物忘れ」との葛藤と戦っている
こんな利用者B様(80代後半、女性)に関わらせて貰いました。
ちょっと聞いてみました。
某施設に勤務していたときの内容です。
私の体験による主観ですが、とくに女性は年齢を重ねても色恋話の喰いつきはとても良好です。
B様に限らず、旦那さん(奥様さん)のことを忘れてはいけないと、心に決めて過ごしている人は多いです。
「物忘れ」の程度にもよりますが、忘れてしまう感覚がある方は心のどこかで恐怖心をもっています。
表立って出さないだけです。
私は過去に意味があって「優しくしない」という関わりをしてしまいましたが、A様との関わりがあってから、自問自答しました。
本当に良かったのかぁ・・・と。
行動を観察したり、大切にしているエピソードを聞きながら整理をしていくと、相手がどんな価値観をもっているのか分かります。
昔の自分に言い聞かせてやりたいです。
認知症の母が教えてくれている、あなた自身が成長する時
認知症の母に優しくできないから、自分を咎(とが)めてしまったり、精神的に落ち込んだりしてしまうこともありますが「素直」に接することは悪くないですよ。
こう考えると少し気持ちが楽になるかもしれません。
「認知症の母が教えてくれている」
私自身も認知症の利用者様と関わって考えることが沢山ありました。
「あなた」の感情を整理しましょう。
あなた自身が母に投影されている
イライラして、感情のコントロールがつかなく優しくできないのだと思います。
優しくできないことで、自分と向き合う機会ができていると言えます。
「モヤモヤした自分が母に伝わってしまっている」と考えていきましょう。
私も過去の自分に言い聞かせたいことが沢山あります。
そうできるのも「してしまった体験」があるからです。
私もモヤモヤしていました。(実績を作らねば。。。と)
優しくできないのも一時的なことなのではないでしょうか?
自分の考えていることを整理するキッカケにして、大きくなりましょう。
【まとめ】認知症の母に優しく できない「自分が嫌だ」
距離感の近い人といると「優しくできない」場面も出てきます。
「認知症」で「体も動く」、「健康的」であればなおさらです。
素直でありのままの自分を家族に見せていることですし、あなた自身も失敗したなと感じているようであれば、何か得ているものがあるはずです。
そんな体験は「自己成長」に使えるはず。
優しくできない自分を否定しないで、別の方向で捉えることができると気持ちも軽くなると思います。
一時的に凹みますが、次に繋げましょう。
何事も体験していくことが必要です。
私も「我」が強く、妻に優しくできない時がありますので反省していきます。
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