障がい者雇用の時給って安いんでしょ?
障がい者雇用じゃ生活できない。
障がい者雇用って何がいいの?
こんな疑問を解決します。
「時給が安い」と言われると生活できるか不安になったり劣悪な環境をイメージすると思います。そうなると何が良いのか分からないという思考に繋がっていきます。
稼ぎは生活に直結してきますので将来的な不安にも発展するかと思いますが、障がい者雇用の良い面を考えたことはありますか?
障がい者雇用で働いたことがある方、途中で辞めてしまった方もいるかと思いますがもう一度考える機会になれば幸いです。
この記事では障がい者雇用の時給について、私の知見を元に真実を語っていきます。
障がい者雇用の捉え方が変わればと思いますので最後まで参考にされて下さい。
この記事の信頼性については運営者プロフィールをどうぞ。
私は現在進行形で就労支援に関わっている職員です。
仕事で経験していることを語っていきますので、思い込みがある方は新しい情報にアップデートして頂ければと思います。
では、はじめていきます。
障がい者雇用の時給の事実
以下の流れで解説します。
最後の「まとめ」で時給に関する捉え方を総合解説しますので、最後までお願い致します。
障害者の時給は100円って本当なのか?
結論:事実である。しかし、福祉就労の場合である。
就労継続支援B型では本当の話
障がい者雇用における企業就労が困難な場合は福祉施設での就労が提案されます。
福祉施設で支援を受けながら働ける福祉サービスを「就労継続支援」といいA型・B型に分かれています。
厚生労働省の報告によるとB型施設の月収は以下の通りです。
時給換算すると「222円」になります
したがってB型の事業所で働く場合は事実です。
A型は上記の全国平均だと「899円」時給ですが、東京都、埼玉県、神奈川県のA型事業所の時給は最低賃金以上でハローワークに求人がだされています。
障がい者雇用案件では通常あり得ない
ハローワークに出ている障がい者雇用案件では、最低賃金を下回っているものはありません。
ハローワークは公的機関ですから基本的に最低賃金以下の案件は通りませんし、求人案件としても信頼性があります。
利用者様の支援でハローワークにもいきますが、時給100円の案件は一度も見たことがありません。
嘘ですので、ご安心ください。
障がい者手帳があると給料が下がるのか?
結論:勤め先で手帳取得した場合、これから新しい仕事に就く場合で捉え方が分かれる。
手帳を取得し会社内で雇用形態が変わる場合
図のように会社に在籍中に障がい者手帳を取得し、かつ、勤め先でずっと勤務を続けたい場合は、雇用形態の変化で給料が下がる可能性はあり得ます。
障がい者雇用案件の場合は手帳によって下がらない
障がい者雇用で仕事を探す場合は、障害の種類や手帳の等級によって給料が区分されることはあり得ませんのでご安心下さい。
障がい者差別解消法で守られています。
ですので、自分にできそうな仕事を選ぶことが必要になってきます。
企業就労による障がい者雇用では最低賃金が適応
結論:障がい者雇用の時給は最低賃金が保証されています
最低賃金賃金以下の障がい者雇用案件はハローワークにはない
障がい者差別解消法で格差をつけることを禁止としています。
前述しましたが、ハローワークは公的機関ですので、触法するような求人は出すことができません。
就労継続支援A型の案件も見かけますが、最低賃金が保証された内容になっています。
就労継続支援B型の案件はハローワークでは見かけたことがありません。
自治体が発行しているハンドブックなどを参考にすると様々なサービスが見つけられます。
見学を通して時給を確認しましょう。
減額特例許可制度は障がい者雇用適応になるのか?【経験談】
結論:かなり希である。
最低賃金以下になったケースは確認できていない
最低賃金以下にする場合は減額特例許可制度に沿った合理的な理由をつけた申請が必要です。
本人も内容に同意することが必要となります。
適合させるには第三者である労働局も介入することから、手続きが面倒になります。
5年近く障がい者雇用枠で働いている卒業生がいますが、一件も確認できていないのが事実です。
障がい者雇用の給料や時給が低いと言われる理由【経験談】
最低賃金・最低賃金以下というイメージが先行しており、配慮の視点が欠けているから。
最低賃金以下というイメージ
こんなイメージが先行していませんか?
簡単なことしかやらせられない、任せられないから安い。
これらは思い込みです。
病気や障がいがある方に不適切な仕事を与えることは合理的配慮を欠いたことになります。
配慮をした上で、最低賃金に見あった仕事内容を与えることが大切な視点なのです。
配慮の捉え方がキチンとできていない
一般案件に比べると障がい者雇用枠は最低賃金に設定されていることが通常です。
最低賃金+合理的配慮=できる仕事
こんな捉え方をすると、最低賃金でも納得できると思います。
オープンにして勤めることで「あなた」が働ける環境を配慮してもらえることは、通常では行わない対応です。
こんなループを繰り返すより、3年、5年というスパンで勤めた方が安定した暮らしに繋がるといえます。
障害者枠の給料だと生活できないのか?
結論:生活は十分できるが、既婚の有無・子育てなどの背景因子に左右される
環境面の整えがあれば可能
実家暮らしor独り暮らしor扶養家族の有無などの要因で生活に必要な金額が変わります。
障がい者雇用もフルタイム、パート、職種によって金額の幅があります。
どんな仕事に就くのかにもよります。
また、障がい者年金の有無によって勤務形態の選択が左右されるため、一概に生活できないと決めつけるのはナンセンスです。
例を以下に紹介します。
独身、独り暮らし、障がい者年金基礎2級の場合
障がい雇用月収:約39,456円
内訳を以下として計算した場合
- 時給822円(青森、秋田、山形県の最低賃金)
- 週3日、4時間勤務(月約48時間)
- 障がい者年金基礎2級 月:約65000円
合計月収 約104,000円
障がい者年金があるということは障がい者手帳も必須となります。
障がい者手帳による税金控除、スマホ代の割引、NHK受信料免除などを活用することで生活水準を無理に上げないように暮らすと十分に生活できると言えます。
身の丈に合ったお金の使い方ができなければ「安い」「足りない」に発展します。
月給7万円の方が「BMW」や「ベンツ」といった車に乗るようなものです。
既婚(夫年収300万)、子2人(高校3年生、中学校2年生)、ローンあり(家)
障がい者雇用 月収:45,888円(年収換算:550,656円)
内訳を以下として計算した場合
- 時給956円(埼玉県の最低賃金の場合)
- 週3日、4時間勤務(月約48時間)
世帯年収:約355万
少々極端ですが、こんな家庭の場合は障がい者雇用の時給では生活が厳しくなると言えます。
お子さんが働ける年齢であれば協力して貰うことも必要です。
※ 分かりやすくするため極端に書きました
【まとめ】障がい者雇用の時給の事実
ここまでお読みいただきありがとうございます。
まとめます。
障がい者雇用の時給は最低賃金という考え方で良いと思います。
決して忘れてはいけないのが「配慮事項が含まれる」ということです。
時給が最低賃金でも、
- 業務内容を精査して可能なものを提供してくれる
- 休みたい時に休めるよう配慮をしてくれる
- 周りが働けるよう気にかけてくれる
こういったものがあればすぐに仕事を辞めなくていいはずです。
時給が最低賃金に固定されていても、勤めやすい配慮が別で含まれることを考えると良いのではないでしょうか。
この価値観の受け止め方が大切です。
理由もなく職場を転々と渡り歩いたり、すぐに辞めてしまうようだと履歴書が汚れていき仕事にありつけなくなる可能性もあります。
まずは時給云々より長く働いてみるということを重要視していくことをおすすめしたいと思います。
知見を深めたい方は、障がい者雇用のメリット・デメリットについて下記に進んで下さい。
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